「音楽を聴きながら寝る」は本当に眠りやすくなるの?
「寝る前に好きな音楽を聴くと、なんとなく眠れる」
「リラックスできるBGMを流しながら寝ている」
そんな習慣がある人は少なくありません。
最近では、動画配信サービスや音楽アプリでも「睡眠用BGM」「快眠音楽」「ヒーリングミュージック」といったコンテンツが数多く配信されており、眠る前に音楽を楽しむ人が増えています。
では、本当に音楽には睡眠を助ける効果があるのでしょうか。
結論から言うと、適切な音楽を選べば、寝つきを良くしたり、リラックスしやすくなったりする効果が期待できます。
音楽は睡眠をサポートする一つの方法ですが、まずは睡眠そのものの仕組みを知ることも大切です。こちらの記事も参考にしてみてください。
一方で、音楽の種類や聴き方によっては、逆に眠りを妨げてしまうこともあります。
つまり、「音楽なら何でも睡眠に良い」というわけではないのです。
今回は、睡眠と音楽の関係について、科学的にわかっていることをもとに解説しながら、眠りの質を高める音楽の選び方も紹介していきます。
音楽を聴くと眠くなるのはなぜ?
寝る前に音楽を聴くと気持ちが落ち着く人は多いでしょう。
これは気のせいではありません。
私たちの体には、「交感神経」と「副交感神経」という2つの自律神経があります。
交感神経は日中の活動や緊張を支える神経で、副交感神経はリラックスや休息を担当しています。
眠るためには、副交感神経が優位になることが大切です。
穏やかな音楽を聴くと、心拍数や呼吸がゆっくりになり、副交感神経が働きやすくなると考えられています。
その結果、体が自然と「休むモード」に切り替わり、眠りにつきやすくなるのです。
「眠いのに眠れない」という人は、自律神経の乱れが関係していることもあります。原因についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
▷眠いのに眠れない理由とは?考えられる原因と今すぐできる対処法
実際に、就寝前に落ち着いた音楽を聴いた人は、何も聴かなかった人より寝つきが良くなり、睡眠の満足度も高まったという研究結果も報告されています。
音楽は薬ではありませんが、心と体をリラックスさせる手助けをしてくれる存在なのです。
どんな音楽が睡眠に向いている?
では、どんな音楽でも眠りやすくなるのでしょうか。
答えは「いいえ」です。
睡眠に向いているのは、テンポがゆっくりで刺激の少ない音楽です。
一般的には、1分間に60~80泊程度のテンポが心拍数に近く、体が落ち着きやすいとされています。
例えば、
- ピアノのソロ曲
- オルゴール
- 自然音を取り入れたヒーリング音楽
- ゆったりとしたクラシック音楽
- 波の音や雨音、森の音
などは、多くの人にとってリラックスしやすいと言われています。
特に波の音や小川のせせらぎなどは、「1/fゆらぎ(エフぶんのいち ゆらぎ)」と呼ばれる自然界特有のリズムを含んでいます。
なんやねん「1/fゆらぎ」って急に知らん言葉出してくんなや、と思われた方がいるかもしれないので軽く説明しておきますと、
「規則的すぎず、バラバラすぎもしない、自然界に多く存在する心地よいリズム」のことです。
例えば、
- 波が打ち寄せる音
- 雨音
- 木の葉が風で揺れる音
- 焚火のパチパチという音
- 小鳥のさえずり
- 小川のせせらぎ
これらは全部、完全に同じリズムではありませんよね。
でも、めちゃんこバラバラでもありません。
この絶妙な揺らぎが「1/fゆらぎ」と呼ばれるものです。
ちなむと揺らぎの中の「f」は「フィークエンスィー、frequency(周波数)」の頭文字です。
脱線が長くなったので本編に戻ります。
このリズムは、人の心を落ち着かせる効果が期待されており、睡眠用BGMにもよく使われています。
「眠りやすい環境づくり」は音だけではありません。睡眠の質を高める習慣についてはこちらでも詳しく解説しています。
赤ちゃんが波の音や雨音で眠りやすいと言われるのも、このリズムが関係してるのではないかと考えられています。
好きな音楽なら何でもいい?
「自分の好きなアーティストの曲ならリラックスできる。」
そう感じる人もいるでしょう。
確かに、「好き」という気落ちはリラックス効果につながります。
しかし、好きな曲だからといって睡眠向きとは限りません。
例えば、
- ロック
- EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)
- ハードロック
- アップテンポなJ-POP
- 激しいライブ音源
などは、テンポが速く、脳が混乱しやすくなることがあります。
また、思い出の曲を聴くと、昔の出来事を思い出してしまい、気持ちが高ぶって眠れなくなる人もいます。
一方で、普段聴き慣れている落ち着いた曲であれば、「安心感」が生まれ、眠りやすくなることもあります。
つまり、「好きかどうか」だけではなく、「聴いたときに心と体が落ち着くか」が重要なのです。
歌詞がある音楽は睡眠の邪魔になることも
実は、歌詞がある音楽は、人によっては睡眠を妨げることがあります。
人間の脳は、歌詞を無意識に追いかけてしまい、脳が完全に休めないことがあるのです。特に初めて聞く曲や、お気に入りの曲は、「次はどんな歌詞だろう」と意識が向きやすくなります。
もちろん、歌詞があっても気にならない人もいます。
しかし、寝つきが悪いと感じる人は、一度インストゥルメンタル(歌詞のない音楽)や自然音だけのBGMを試してみる価値はあるでしょう。
音楽を流しっぱなしで寝ても大丈夫?
「タイマーを使わず、一晩中音楽を流している。」
という人もいますが、実はこれは注意が必要です。
眠り始めはリラックスできても、睡眠中に曲調が変わったり、音量が気になったりすると、眠りが浅くなったりすることがあります。
また、イヤホンやヘッドホンをつけたまま眠ると、耳への負担や寝返りによる違和感で
睡眠の質が低下する可能性もあります。
そのため、多くの睡眠専門家は30~60分程度のスリープタイマーを活用することをお勧めしています。
眠りにつくまで音楽を楽しみ、そのあとは静かな環境で眠るのが理想的と言えるでしょう。
音楽以外にも睡眠の質を高める習慣はある
音楽は睡眠をサポートしてくれる心強い味方ですが、それだけで睡眠の質が劇的に良くなるわけではありません。
本当に質の良い睡眠を目指すなら、生活習慣全体を見直すことが大切です。例えば、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びること。
朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、約14~16時間後に自然な眠気が訪れやすくなります。
また、寝る1時間前のスマートフォンやパソコンの使用を控えることも効果的です。
ブルーライトは眠気を促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑えてしまうため、せっかく音楽でリラックスしても、画面を見続けていては眠りにくくなってしまいます。
寝る前のスマホが睡眠へ与える影響については、こちらの記事で詳しく解説しています。
さらに、夕方以降のカフェインを控えたり、寝室の照明を少し暗めにしたりすることも、音楽との相乗効果が期待できます。
「音楽だけに頼る」のではなく、眠りやすい環境を整えることが何より重要なのです。
「ホワイトノイズ」が眠りを助けることもある
最近では、音楽ではなく「ホワイトノイズ」を流して眠る人も増えています。
ホワイトノイズとは、「サー」という一定の音で、テレビの砂嵐のような音をイメージすると分かりやすいでしょう。
ほかにも、
- 扇風機の音
- エアコンの送風音
- 雨音
- 波の音
- 小川のせせらぎ
なども、広い意味では環境音として睡眠をサポートする音に含まれます。
こうした音には、外から聞こえる車の音や話し声などを目立ちにくくする「マスキング効果」があります。
そのため、周囲の生活音が気になって眠れない人には、心地よく感じられることがあります。
ただし、音量が大きすぎると逆効果です。
「少し聞こえるかな」程度の小さな音量に設定することがポイントです。
音楽を聴くならイヤホンよりスピーカーがおすすめ
寝る前に音楽を聴く方法として、イヤホンやヘッドホンを使う人も多いでしょう。
しかし、睡眠という観点から考えると、あまりおすすめできません。
イヤホンをつけたまま眠ると、
- 耳への負担
- 寝返りによる圧迫
- コードが絡まる不快感(有線の場合)
- 無意識に音量を上げてしまう
などの問題が起こることがあります。
特に長時間、大きな音量で音楽を聴き続けることは、耳の健康にも良くありません。
もし音楽を流すのであれば、小さなスピーカーやスマートスピーカーを利用したり、枕元から少し離れた場所で静かに流したりする方が快適に眠れる人が多いでしょう。
最近では、スリープタイマー付きの音楽アプリも多くあるため、眠りについた頃に自動で停止する設定にしておくと安心です。
「毎日同じ音楽」を流すと眠りやすくなる?
実は、人間の脳は「習慣」を覚えるのが得意です。
毎晩同じ時間に同じ音楽を流してから寝る習慣を続けると、脳はその音楽に「これから眠る時間の合図」と認識しやすくなります。
毎日同じ時間に眠る習慣は、睡眠の質を高めるうえでも非常に重要です。
さらに睡眠の質を高めたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
これは「条件づけ」と呼ばれる仕組みで、歯磨きをすると自然に眠る準備を始めるのと似ています。
そのため、自分がリラックスできる音楽を毎日同じタイミングで聴くことは、眠りのスイッチを入れる習慣づくりにも役立ちます。
ただし、毎日違うプレイリストを探したり、曲選びに時間をかけたりすると、かえって脳が活動してしまうことがあります。
お気に入りの睡眠用プレイリストを1つ作っておくのも良い方法です。
意外と知らない音楽と睡眠の豆知識
最後に、誰かに話したくなる睡眠の雑学をご紹介します。
実は、お母さんのおなかの中にいる赤ちゃんは、生まれる前から音を感じ取っていると言われています。
特に、お母さんの心臓の鼓動や血液が流れる音は、赤ちゃんにとって最も身近な「リズム」です。
そのため、生まれた後も一定のリズムや穏やかな音を聞くと安心しやすいと考えられています。
また、人間の安静時の心拍数は一般的に1分間あたり60~80回程度です。(60~80BPM)
そのため、この心拍数に近い店舗の音楽は自然と呼吸や心拍が落ち着きやすく、リラックスにつながる可能性があるとされています。
だからこそ、多くの睡眠用BGMはゆったりとしたテンポで作られているのです。
まとめ
寝る前の音楽は、選び方や聴き方を工夫すれば、睡眠の質を高めるサポート役になってくれます。
穏やかな音楽や自然音は、副交感神経を優位にし、心拍や呼吸を落ち着かせることで、眠りにつきやすい状態を作ることが期待できます。
一方で、テンポの速い音楽や刺激の強い曲、大きすぎる音量、歌詞が気になる曲などは、脳を興奮させてしまい、かえって寝つきを悪くすることもあります。
また、音楽だけに頼るのではなく、朝日を浴びることや規則正しい生活、寝る前のスマートフォンを控えることなど、睡眠環境全体を整えることも大切です。
もし「最近よく眠れない」と感じているなら、今夜はお気に入りの穏やかな音楽を小さな音量で流しながら、ゆっくり目を閉じてみてください。
音楽は魔法ではありませんが、心と体を眠りに導く優しいきっかけになってくれるかもしれません。
より質の高い睡眠を目指したい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
▷眠いのに眠れない理由とは?考えられる原因と今すぐできる対処法



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