「音楽を聴きながら寝る」は本当に眠りやすくなるの?
「寝る前に好きな音楽を聴くと、なんとなく眠れる」
「リラックスできるBGMを流しながら寝ている」
そんな習慣がある人は少なくありません。
最近では、動画配信サービスや音楽アプリでも「睡眠用BGM」「快眠音楽」「ヒーリングミュージック」といったコンテンツが数多く配信されており、眠る前に音楽を楽しむ人が増えています。
では、本当に音楽には睡眠を助ける効果があるのでしょうか。
結論から言うと、研究では、寝る前に音楽を聴くことで、本人が感じる睡眠の質が良くなる可能性が報告されています。ただし、誰でも寝つきが早くなるとまでは言えません。
音楽は睡眠をサポートする一つの方法ですが、まずは睡眠そのものの仕組みを知ることも大切です。こちらの記事も参考にしてみてください。
一方で、音楽の種類や聴き方によっては、逆に眠りを妨げてしまうこともあります。
つまり、「音楽なら何でも睡眠に良い」というわけではないのです。
今回は、睡眠と音楽の関係について、科学的にわかっていることをもとに解説しながら、眠りの質を高める音楽の選び方も紹介していきます。
音楽を聴くと眠くなるのはなぜ?
寝る前に音楽を聴くと気持ちが落ち着く人は多いでしょう。
穏やかな音楽を聴くことで、気持ちが落ち着いたり、就寝前の緊張が和らいだりする人もいます。
こうした変化が、寝る前にリラックスして過ごすための一つのきっかけになる可能性があります。
ただし、音楽を聴けば必ず眠くなるわけではなく、感じ方には個人差があります。
眠いのに眠れない理由は一つではありません。
考えられる原因については、こちらの記事でも紹介しています。
▷眠いのに眠れない理由とは?考えられる原因と今すぐできる対処法
研究レビューでは、音楽を聴くことで、本人が感じる睡眠の質が良くなる可能性が報告されています。
一方、客観的に測定した寝つきや睡眠時間などについては、はっきりした効果が確認されていない項目もあります。
音楽は薬ではありませんが、心と体をリラックスさせる手助けをしてくれる存在なのです。
どんな音楽が睡眠に向いている?
では、どんな音楽でも眠りやすくなるのでしょうか。
答えは「いいえ」です。
睡眠を目的とした音楽の研究では、60~80BPMほどの比較的ゆっくりした曲が使われることがあります。
例えば、
- ピアノのソロ曲
- オルゴール
- 自然音を取り入れたヒーリング音楽
- ゆったりとしたクラシック音楽
- 波の音や雨音、森の音
こうした音は、睡眠用BGMでもよく使われています。
雑学 自然音はなぜ寝る前によく使われる?
雨音や波の音、小川のせせらぎなどは、睡眠用BGMでもよく使われています。
こうした自然音は、同じ音が完全に一定の間隔で繰り返されているわけではありません。
波の音なら、一回ごとに強さや間隔が少しずつ違います。
雨音も、ずっと同じ音が続くわけではありません。
こうした変化のある音を、心地よく感じる人もいます。
ただし、自然音を聞けば必ず眠りやすくなるわけではありません。
雨音で落ち着く人もいれば、逆に音が気になって眠れない人もいます。
そのため、寝る前に音を流す場合は、「一般的に良いとされる音」よりも、自分が聞いていて気にならない音を選ぶ方が分かりやすいでしょう。
「眠りやすい環境づくり」は音だけではありません。
私自身も、雨音は落ち着くのですが、鳥の声が入っている音源だと逆に気になってしまうことがあります。
睡眠の質を高める習慣についてはこちらでも詳しく解説しています。
好きな音楽なら何でもいい?
「自分の好きなアーティストの曲ならリラックスできる。」
そう感じる人もいるでしょう。
確かに、「好き」という気持ちはリラックス効果につながります。
しかし、好きな曲だからといって睡眠向きとは限りません。
例えば、
- ロック
- EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)
- ハードロック
- アップテンポなJ-POP
- 激しいライブ音源
など、テンポが速かったり音の変化が大きかったりする曲は、人によっては寝る前には刺激が強く感じられることがあります。
また、思い出のある曲を聴くと、昔の出来事を思い出したり、歌詞やメロディーに意識が向いたりする人もいるでしょう。
聴き慣れた曲の方が、落ち着いて聴ける人もいます。
つまり、「好きな曲=寝る前に向いている曲」とは限りません。
自分が聴いていて気持ちが落ち着くかどうかも、選ぶときの一つの目安になります。
歌詞が気になってしまう人もいる
実は、歌詞がある音楽は、人によっては睡眠を妨げることがあります。
歌詞のある曲では、言葉の内容に意識が向いてしまう人もいます。
特に初めて聴く曲や、お気に入りの曲では、歌詞やメロディーを追ってしまい、寝る前には少し刺激が強く感じられることもあるでしょう。
もちろん、歌詞があっても気にならない人もいます。
もし歌詞が気になってしまう場合は、インストゥルメンタル(歌詞のない音楽)や自然音だけのBGMを試してみる方法もあります。
音楽を流しっぱなしで寝ても大丈夫?
「タイマーを使わず、一晩中音楽を流している。」
という人もいますが、実はこれは注意が必要です。
眠り始めは心地よく感じても、睡眠中に曲調が変わったり、音量が気になったりすると、途中で目が覚めるきっかけになる人もいます。
また、イヤホンやヘッドホンをつけたまま眠ると、装着感や寝返りのときの圧迫が気になる人もいるでしょう。
一晩中流し続けるのが気になる場合は、スリープタイマーを使って途中で音楽が止まるようにする方法もあります。
音量や流す時間については、自分が気にならず、無理なく続けられる設定にするのが分かりやすいでしょう。
音楽以外にも寝る前の環境は関係する
音楽だけで睡眠が決まるわけではありません。
寝る前にどのように過ごすか、部屋の明るさや周囲の音、スマートフォンの使い方など、さまざまな要素が関係します。
特にスマートフォンについては、画面からの光だけでなく、見る内容や使用時間、就寝時間が遅くなることなど、複数の要因が研究されています。
寝る前のスマホについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
さらに、夕方以降のカフェインを控えたり、寝室の照明を少し暗めにしたりすることも、音楽との相乗効果が期待できます。
「音楽だけに頼る」のではなく、眠りやすい環境を整えることが何より重要なのです。
「ホワイトノイズ」が眠りを助けることもある
最近では、音楽ではなく「ホワイトノイズ」を流して眠る人も増えています。
ホワイトノイズとは、「サー」という一定の音で、テレビの砂嵐のような音をイメージすると分かりやすいでしょう。
一方、雨音や波の音、扇風機やエアコンの音などは、ホワイトノイズそのものとは限りませんが、寝るときに使われる環境音の一つです。
こうした一定または連続した音によって、外から聞こえる車の音や話し声が目立ちにくくなることがあります。
そのため、周囲の生活音が気になって眠れない人には、心地よく感じられることがあります。
ただし、音量が大きすぎると逆効果です。
「少し聞こえるかな」程度の小さな音量に設定することがポイントです。
ただし、ホワイトノイズと睡眠については研究結果が一致しているわけではなく、誰にでも睡眠を助けるとは言えません。
音楽を聴くならイヤホンよりスピーカーがおすすめ
寝る前に音楽を聴く方法として、イヤホンやヘッドホンを使う人も多いでしょう。
しかし、睡眠という観点から考えると、あまりおすすめできません。
イヤホンをつけたまま眠ると、
- 耳への負担
- 寝返りによる圧迫
- コードが絡まる不快感(有線の場合)
- 無意識に音量を上げてしまう
などの問題が起こることがあります。
特に長時間、大きな音量で音楽を聴き続けることは、耳の健康にも良くありません。
もし音楽を流すのであれば、小さなスピーカーやスマートスピーカーを利用したり、枕元から少し離れた場所で静かに流したりする方が快適に眠れる人が多いでしょう。
最近では、スリープタイマー付きの音楽アプリも多くあるため、眠りについた頃に自動で停止する設定にしておくと安心です。
「毎日同じ音楽」を流すと眠りやすくなる?
実は、人間の脳は「習慣」を覚えるのが得意です。
毎晩同じような音楽を同じタイミングで聴くことで、それが「そろそろ寝る時間」という習慣上の合図になる可能性があります。
毎晩ある程度決まった流れで過ごすことは、寝る前のルーティンを作る方法の一つです。
さらに睡眠の質を高めたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
こうした習慣は、「この音楽を聴いたら寝る」という流れを作るきっかけになることがあります。
自分が落ち着ける音楽を毎日同じタイミングで聴くことは、寝る前のルーティンを作る一つの方法になります。
ただし、毎日違うプレイリストを探していると、曲選びそのものに夢中になってしまうこともあります。
睡眠用BGMにはたくさんの種類がありますが、結局は自分に合う音を探していくのも一つの楽しみかもしれません。
お気に入りの睡眠用プレイリストを1つ作っておくのも良い方法です。
音楽を選ぶときは「テンポ」だけで決めなくていい
睡眠用BGMを見ると、「60BPM」「ゆっくりしたテンポ」といった説明を見かけることがあります。
ただ、テンポがゆっくりだからといって、誰にとっても心地よいとは限りません。
ピアノが落ち着く人もいれば、雨音のほうが好きな人もいます。
反対に、静かすぎると周囲の物音が気になってしまう人もいるでしょう。
寝る前に音楽を使うなら、「何BPMなら眠れる」と数字だけで考えるより、自分が聴いていて気にならないか、落ち着いて過ごせるかを基準に選ぶ方法があります。
私自身も、同じ「落ち着いた音」でも、その日の気分によって心地よく感じるものが違うことがあります。
まとめ
寝る前の音楽は、選び方や聴き方によっては、リラックスして過ごすための一つの方法になります。
研究では、音楽を取り入れることで、本人が感じる睡眠の質が良くなる可能性も報告されています。
ただし、すべての人に同じような変化があるわけではありません。
一方で、テンポの速い曲や大きな音量、歌詞が気になる曲などは、人によっては寝る前には刺激が強く感じられることがあります。
音楽だけで睡眠が決まるわけではありません。
寝る前をどう過ごすか、部屋の明るさや音、スマートフォンの使い方など、周囲の環境も関係します。
寝る前に音楽を取り入れるなら、まずは自分が落ち着ける曲を小さめの音量で試してみるのも一つの方法です。
音楽は魔法ではありませんが、心と体を眠りに導く優しいきっかけになってくれるかもしれません。
より質の高い睡眠を目指したい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
▷眠いのに眠れない理由とは?考えられる原因と今すぐできる対処法

参考文献
1.PubMed|Cochrane(2022)音楽を聴くことと成人の睡眠に関するレビュー
2.PubMed|Dicksonたち(2020)音楽と睡眠の質に関する研究レビュー
3.PubMed|音楽の特徴と睡眠に関するレビュー(2025)睡眠に使われる音楽のテンポや特徴についてまとめた研究
4.PubMed|ホワイトノイズと睡眠に関するレビュー(2020)ホワイトノイズなどの連続音と睡眠について調べた研究レビュー


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