睡眠とは何か?健康に欠かせない役割と最新研究

睡眠

私たちは毎日、当たり前のように眠っています。

しかし、

「そもそも睡眠とは何なのか?」

と聞かれると、意外と説明するのは難しいかもしれません。

眠っている人を見ると、ただ静かに休んでいるように見えます。

ところが実際には、睡眠中も脳の活動が完全に止まっているわけではありません。

一晩の中では、ノンレム睡眠とレム睡眠という異なる状態が何度も繰り返され、脳や体の状態も変化しています。

さらに興味深いことに、「なぜ人は眠るのか」という根本的な問いについては、現在もすべてが解明されているわけではありません。

この記事では、睡眠とはどのような状態なのか、その役割や仕組み、そして近年の研究でわかってきたことを紹介します。

睡眠とは?

睡眠は、起きているときとは脳や体の状態が変化する生理的な現象です。

眠っている間は周囲への反応が小さくなりますが、脳そのものが完全に停止しているわけではありません。

脳波や眼球運動などを調べると、睡眠中にはいくつかの異なる状態が現れることがわかっています。

大きく分けると、

「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」

の2つです。

この2種類の睡眠が、一晩の中で何度も繰り返されています。

つまり睡眠は、

「何もしていない時間」ではなく、眠っている間にも状態が変化し続けている時間

と考えるとわかりやすいでしょう。

人はなぜ眠るのか?

では、そもそも人はなぜ眠るのでしょうか。

「疲れたから休むため」

という答えが最初に思い浮かぶかもしれません。

しかし、睡眠が存在する根本的な理由については、現在も一つの答えに決まっているわけではありません。

睡眠については、

  • 記憶や学習との関係
  • 脳の活動の変化
  • エネルギー利用
  • ホルモン分泌
  • 体内時計との関係

など、さまざまな方向から研究されています。

つまり、

毎日誰もが行っている「眠る」という行為そのものに、まだ解明されていない部分が残っているのです。

身近なのに、完全にはわかっていない。

ここが睡眠の面白いところでもあります。

睡眠が健康に欠かせないとされるのはなぜ?

睡眠は、脳だけに関係しているわけではありません。

眠っている間には、脳の活動、ホルモン分泌、体温など、体のさまざまな状態が時間とともに変化しています。

また、睡眠は新しく得た情報の処理や記憶の形成とも関係しています。

つまり睡眠は、単なる「休憩時間」ではなく、人間の体が毎日繰り返している基本的な生理活動の一つなのです。

ただし、

「睡眠中に○○をすれば健康になる」

「○時間眠れば必ず良い」

といった単純な話ではありません。

睡眠には個人差があり、その仕組みについても現在まで研究が続いています。

眠っている脳は完全に休んでいるわけではない

眠っているときは意識がなくなるため、

「脳も完全に休んでいる」

というイメージを持つかもしれません。

しかし実際には、睡眠中も脳ではさまざまな活動が続いています。

しかも、その状態は一晩中同じではありません。

その変化を理解するために欠かせないのが、

レム睡眠とノンレム睡眠

です。

この2つについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

▷レム睡眠・ノンレム睡眠の違いとは?眠っている間に脳で起きている驚きの秘密

ノンレム睡眠には3つの段階がある

「ノンレム睡眠=深い睡眠」

と思われることがあります。

しかし、ノンレム睡眠がすべて深い睡眠というわけではありません。

現在、ノンレム睡眠は、

  • N1
  • N2
  • N3

の3段階に分類されています。

N1|眠り始めの段階

N1は、起きている状態から睡眠へ移っていく最初の段階です。

まだ眠りは浅く、覚醒と睡眠の境目に近い状態です。

N2|本格的な睡眠へ入る段階

N2では、N1よりも睡眠が進みます。

一晩の睡眠の中でも比較的大きな割合を占める段階です。

N3|深いノンレム睡眠

N3は、一般に「深い睡眠」や「徐波睡眠」と呼ばれる段階です。

このN3は、一晩の中でも特に前半に多く現れる傾向があります。

つまり、

ノンレム睡眠には浅い段階から深い段階まであり、その中でもN3が深い睡眠にあたります。

レム睡眠とは?

REMは「Rapid Eye Movement」の頭文字です。

日本語では「急速眼球運動」と呼ばれます。

名前のとおり、レム睡眠中には閉じたまぶたの下で眼球が素早く動くことがあります。

そして特徴的なのが脳の活動です。

レム睡眠中には、覚醒しているときに近い脳活動がみられます。

眠っているのに、脳の活動は比較的活発。

少し不思議な状態です。

また、レム睡眠では夢が報告されることも多くあります。

ただし、

「夢を見る=必ずレム睡眠」というわけではありません。

夢や夢に近い体験は、ノンレム睡眠から目覚めた場合にも報告されています。

そのため、

「昨日は夢を見なかった」

と思っていても、本当に夢を見ていなかったのか、それとも覚えていないだけなのかは簡単には判断できません。

夢についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

▷夢を見る理由とは?最新研究でわかっていること

一晩の睡眠はどのように進んでいく?

睡眠は、一晩中ずっと同じ深さで続いているわけではありません。

眠り始めるとノンレム睡眠へ入り、

N1
↓
N2
↓
N3

と睡眠が進んでいきます。

その後、睡眠の状態が変化し、レム睡眠が現れます。

そして再びノンレム睡眠へ。

こうした変化が、一晩の中で何度か繰り返されます。

米国国立心肺血液研究所(NHLBI)では、睡眠周期はおよそ80~100分で繰り返され、一般的には一晩に4~6回程度の周期があると説明しています。

ここで覚えておきたいのが、

「睡眠は必ず90分周期」というわけではない

ということです。

「90分」という数字は睡眠の説明でよく使われますが、毎回きっちり90分で切り替わる時計のような仕組みではありません。

一晩の前半と後半でも「睡眠の中身」が違う

さらに面白いのは、一晩の前半と後半でも睡眠の構成が変わることです。

一般に、眠り始めてからしばらくは、深いノンレム睡眠であるN3が多く現れます。

一方、朝に近づいていくにつれて、レム睡眠の時間が長くなる傾向があります。

つまり、

同じ8時間の睡眠でも、最初から最後まで同じ状態で眠っているわけではありません。

夜の前半と朝方では、睡眠の中身そのものが少し違うのです。

これを知ると、「眠る」という行為が意外と複雑なことがわかります。

睡眠と記憶にはどんな関係がある?

睡眠研究の中で、長く調べられているテーマの一つが記憶との関係です。

私たちは起きている間に大量の情報に触れています。

仕事で覚えたこと。

勉強した内容。

人と話したこと。

見た景色。

何気なく耳にした言葉。

こうした情報と睡眠との関係は、現在も研究が続けられています。

睡眠が記憶の固定に関係していることは以前から研究されてきましたが、近年はさらに細かな睡眠中の脳活動が調べられるようになっています。

最新研究では睡眠中の脳をさらに細かく調べている

睡眠研究は現在も進んでいます。

2025年に米国国立精神衛生研究所(NIMH)が紹介した研究では、マウスのノンレム睡眠中に、新しい記憶と以前からある記憶が異なるタイミングで再び活動する様子が調べられました。

研究では、ノンレム睡眠の中にもさらに細かな状態の違いがあり、それぞれで新しい記憶と古い記憶に関連する神経活動が異なる可能性が示されています。

つまり、「ノンレム睡眠」という一つの名前で呼ばれていても、その内部ではさらに細かな変化が起きている可能性があるのです。

さらに2026年6月、NIHが発表した動物研究では、覚醒しているマウスの脳の一部に睡眠時にみられる活動パターンを人工的に起こし、神経接続の再調整などを調べる実験が報告されました。

これはマウスを使った研究であり、その結果がそのまま人間に当てはまるわけではありません。

しかし、

「睡眠中、脳では何が起きているのか」

という問いについて、研究が今も更新され続けていることがわかります。

「眠っている時間」は人生で考えるとかなり長い

一晩だけを見ると、睡眠は数時間です。

しかし、それを人生全体で考えると印象が変わります。

例えば、85年間、毎日8時間眠ると仮定すると、

8時間 × 365日 × 85年 = 248,200時間

です。

日数にすると約10,342日。

年数では約28.3年になります。

もちろん、実際の睡眠時間は年齢や生活によって変わるため、これはあくまで単純計算です。

それでも、

人生の中で睡眠が占める時間がかなり大きい

ことはイメージできると思います。

睡眠を人生全体の数字から見てみたい方は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

▷人は人生のうち何年寝ている?睡眠にまつわる驚きの数字

睡眠は身近なのに、まだ謎が多い

毎晩眠る。

朝になったら起きる。

私たちにとっては当たり前のことです。

しかし、その数時間を詳しく見てみると、

ノンレム睡眠になったり、

深いN3へ入ったり、

レム睡眠になったり、

再びノンレム睡眠へ戻ったりしています。

さらに、睡眠と記憶の関係や、睡眠中に起きている細かな神経活動についても研究が続いています。

そして何より、

「なぜ人間を含む多くの生物は眠るのか」という根本的な問いにも、まだ完全な答えはありません。

毎日経験しているのに、すべてはわかっていない。

睡眠は、身近でありながら奥の深い現象なのです。

まとめ

睡眠は、単に活動を止めている時間ではありません。

眠っている間には脳や体の状態が変化し、ノンレム睡眠とレム睡眠が一晩の中で何度も繰り返されています。

ノンレム睡眠はN1・N2・N3の3段階に分けられ、その中でもN3が深い睡眠にあたります。

また、睡眠周期は「必ず90分」ではなく、およそ80~100分で、一晩に4~6回程度繰り返されるのが一般的です。

睡眠と記憶との関係についても研究が続いており、近年では睡眠中の脳活動がさらに細かなレベルで調べられるようになっています。

そして、

「そもそもなぜ私たちは眠るのか」という問いには、現在も完全な答えが出ていません。

毎日当たり前のように繰り返しているからこそ、その仕組みを知ると、睡眠という現象を少し違った角度から見ることができます。

あわせて読みたい

▷レム睡眠・ノンレム睡眠の違いとは?眠っている間に脳で起きている驚きの秘密

▷夢を見る理由とは?最新研究でわかっていること

▷人は人生のうち何年寝ている?睡眠にまつわる驚きの数字

参考・出典

・NHLBI|睡眠の段階と周期

・NINDS|睡眠の基本的な仕組み

・NIMH|睡眠と記憶に関する研究(2025年)

・NIH|睡眠中の脳活動に関する研究(2026年)

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