ショートスリーパーとは?特徴や最新研究からわかっていることを解説

睡眠

「睡眠時間は4時間で大丈夫。」

「毎日3時間しか寝ていないけど元気。」

「短く眠れたら人生がもっと充実するのに…。」

こんな話を耳にしたことはありませんか?

しかし、本当に短い睡眠時間だけで健康に生活できる人は存在するのでしょうか。

それとも、ただ睡眠不足に慣れてしまっているだけなのでしょうか。

近年の睡眠研究では、「ショートスリーパー」は確かに存在すると考えられています。

ただし、自然な短時間睡眠に関する研究で確認されている人は限られており、一般的な「睡眠時間が短い人」と同じものではありません。

この記事では、ショートスリーパーの特徴や最新研究で明らかになっていること、睡眠不足との違いまで、わかりやすく解説します。

ショートスリーパーとは?

ショートスリーパーとは、一般的な人よりも短い睡眠時間でも、日中の眠気や明らかな機能低下がみられない人を指す言葉です。

研究では「自然な短時間睡眠(Natural Short Sleep)」として、生まれつき短い睡眠時間で生活している人たちが調べられています。

出典:PubMed Central

 

健康な成人では、定期的に7時間以上の睡眠を取ることが推奨されています。

自然な短時間睡眠の研究では、4~6時間程度の睡眠を生涯にわたって必要とする人たちが調べられています。

ここで重要なのは、単に「睡眠時間が短い人」という意味ではないということです。

例えば、

  • 仕事が忙しく毎日4時間しか寝ていない
  • 夜更かしを続けて睡眠不足になっている
  • 朝早く起きなければならない

このような人は、ショートスリーパーではなく、睡眠時間が不足している可能性があります。

つまり、ショートスリーパーとは単に「睡眠時間が短い人」ではなく、短い睡眠時間でも日中の機能や健康に明らかな問題がみられない人を指します。

実際にショートスリーパーは存在する?

結論から言えば、存在すると考えられています。

睡眠研究では、ごく一部の人が生まれつき短い睡眠でも十分に活動できることが報告されています。PubMed Central(PMC)

中でも有名なのが、遺伝子との関係です。

代表的な研究の一つが、BHLHE41(DEC2)という遺伝子に関するものです。

この遺伝子の特定の変異は、自然な短時間睡眠との関連が報告されています。

もちろん、この遺伝子だけですべてが説明できるわけではありませんが、「ショートスリーパーには生まれつきの要素がある」という考えを後押しする重要な発見でした。

その後の研究では、ADRB1、NPSR1、GRM1など、複数の遺伝子変異も自然な短時間睡眠との関連が報告されています。

これらの研究から、自然な短時間睡眠には遺伝的な要因が関係していると考えられています。

2025年には新たな遺伝子変異も報告

2025年には、SIK3という遺伝子のN783Y変異が、自然な短時間睡眠との関連で報告されました。

研究では、70代の健康な女性からこの変異が見つかり、本人は生涯にわたって短い睡眠で生活していたとされています。

ただし、本人が「1日約3時間」と申告していた一方、活動量の記録では平均6.3時間の睡眠が確認されました。

研究者はさらに、この変異を持つマウスを調べ、通常のマウスより睡眠時間が短くなることを確認しています。

この研究は、自然な短時間睡眠に遺伝的な仕組みが関係する可能性をさらに示すものですが、1人の人間で見つかった変異を起点とした研究であり、すべてのショートスリーパーに当てはまるわけではありません。PubMed Central(PMC)

自然な短時間睡眠の人にみられる特徴

では、自然な短時間睡眠の人にはどのような特徴があるのでしょうか。

強い眠気を感じにくい

自然な短時間睡眠の人は、短い睡眠時間でも、本人が強い眠気や睡眠不足を感じにくいことがあります。

ただし、本人が「眠くない」と感じていることだけで、睡眠が十分だと判断することはできません。

2024年の研究では、自然な短時間睡眠の人でも、刺激の少ない環境では客観的な眠気や短時間の入眠が見られました。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

日中に眠くならない

自然な短時間睡眠の人は、短い睡眠時間でも日中の強い眠気や機能低下を自覚しにくいとされています。

ただし、本人の自覚だけでは判断できない点には注意が必要です。

一方で、睡眠不足の人は「眠くない」と思っていても、実際には注意力や認知機能などが低下していることがあります。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

自分では気づきにくいのが、睡眠不足の怖いところです。

睡眠不足が脳にどのような影響を与えるのか気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

▷睡眠不足が脳に与える影響についてはこちら

休日も長く寝ない

自然な短時間の睡眠の人は、平日だけ睡眠時間を削っているのではなく、普段から短い睡眠で生活していることが特徴です。

休日に平日より長く眠る場合は、平日の睡眠不足を補っている可能性もあります。

「自分はショートスリーパー」と思っている人は本当にそうなの?

自分ではショートスリーパーだと思っていても、実際には睡眠不足になっている可能性があります。

睡眠不足が続くと、本人が眠気やパフォーマンスの低下を自覚しにくくなることがあります。

一方で、注意力や反応速度などのパフォーマンスは低下する可能性があります。

そのため、「眠くない」「普通に仕事ができている」と感じていても、睡眠不足によるパフォーマンス低下が起きている可能性があります。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

これを例えるなら、暗い部屋に長くいると暗さに慣れるのといっしょです。

本人は普通だと思っていても、明るい場所に出ると、「こんなに暗かったのか」と気付きます。

睡眠不足も、それとよく似ています。

自分では眠くないと感じていても、睡眠不足を客観的に判断するのは難しいことがあります。

自分に必要な睡眠時間について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

▷睡眠時間は何時間が理想?最新研究でわかった最適な睡眠時

ショートスリーパーになれる?トレーニングで睡眠時間を短くできる?

「もしショートスリーパーになれたら、毎日3時間も自由な時間が増える。」

そう考えたことがある人もいるのではないでしょうか。

実際、インターネットやSNSでは「睡眠時間を4時間まで減らす方法」や「ショートスリーパー養成法」といった情報を見かけることがあります。

しかし、現在の研究では、一般の人がトレーニングによって自然な短時間睡眠の体質になれるという確かな証拠はありません。PubMed Central(PMC)

睡眠時間を減らす生活を続けると、眠気の自覚が弱くなることがあります。

「眠気が弱くなったこと」と「必要な睡眠時間が短くなったこと」は、まったく別の話です。

つまり、「短く眠れるようになった」と感じていても、それだけで自然な短時間睡眠になったとは判断できません。

自然な短時間睡眠は、もともとの睡眠特性として研究されています。

研究では、DEC2、ADRB1、NPSR1、GRM1など複数の遺伝子変異が、自然な短時間睡眠との関連で報告されています。

睡眠不足と自然な短時間睡眠はどう違う?

睡眠不足は、単に眠くなるだけではありません。

近年の研究では、慢性的な睡眠不足がさまざまな健康リスクにつながることが明らかになっています。

例えば、

  • 集中力や注意力の低下
  • 記憶や認知機能への影響
  • 免疫機能への影響
  • 肥満や2型糖尿病などの代謝への影響
  • 高血圧や心血管疾患のリスク上昇
  • 気分やメンタルヘルスへの影響

などが挙げられます。

さらに注意したいのは、睡眠不足が続くと本人がその変化に気付きにくくなることです。

「最近なんとなくミスが増えた」

「疲れが抜けない」

「イライラしやすい」

こうした変化の背景に、睡眠不足が関係している可能性があります。

ただし、こうした睡眠不足によるリスクを、自然な短時間睡眠の人にそのまま当てはめることはできません。

自然な短時間睡眠は、一般的な睡眠不足とは異なる特徴として研究されています。

睡眠不足がストレスを増やす仕組みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

▷睡眠不足でストレスの関係についてはこちら

自分がショートスリーパーか判断するには?

「自分はショートスリーパーかもしれない」と思った場合でも、まずは普段の睡眠状態を確認してみましょう。

自分がショートスリーパーかどうかは、睡眠時間の体感だけで判断することはできません。

日中に眠気がないか

会議中や授業中、運転中などに強い眠気がある場合は、睡眠不足などが関係している可能性があります。

特に運転中の眠気は安全に関わるため、睡眠時間を見直す必要があります。

ただし、眠気がないことだけでショートスリーパーと判断することはできません。

休日寝だめをしていないか

休日に平日より長く眠る場合は、平日の睡眠時間を補っている可能性があります。

疲れがたまっていないか

朝から疲れている、午後になると集中力が切れる、休日まで疲れを引きずる。

このような状態なら、睡眠不足が関係している可能性があります。

まずは睡眠時間を記録してみる

自分の睡眠時間を確認したい場合は、まず数週間、就寝時刻と起床時刻、休日の睡眠時間、日中の眠気などを記録してみましょう。

睡眠日誌だけでショートスリーパーと判断することはできませんが、自分が普段どのくらい眠っているのかを把握する材料になります。

必要に応じて、医療機関ではアクチグラフィーなどを使って睡眠・覚醒のパターンを確認することもあります。

ショートスリーパーを目指すより、自分に合った睡眠をみつけよう

「睡眠時間が短ければ、その分たくさん活動できる」

確かに時間だけを見れば、その通りかもしれません。

しかし、睡眠は単なる休憩ではありません。

睡眠は、記憶や認知機能だけでなく、代謝や免疫など、さまざまな身体機能に関わっています。

つまり、睡眠時間を削ることは、自分自身のメンテナンス時間を削ることでもあるのです。

自然な短時間睡眠の人は、睡眠時間を意図的に削らなくても、もともと短い睡眠時間で生活していることが特徴です。

一方、必要な睡眠時間を無理に削ると、注意力や認知機能などのパフォーマンスに影響する可能性があります。

大切なのは、誰かと睡眠時間を比べることではありません。

朝の目覚めや日中の眠気、疲労感などを確認しながら、自分に必要な睡眠時間を把握することです。

ただし、こうした自覚症状だけで「ショートスリーパー」と判断できるわけではありません。

睡眠は「短ければ優秀」というものではなく、自分に必要な睡眠時間を確保することが大切です。

まとめ

ショートスリーパーは、現在の研究でも実在すると考えられています。

自然な短時間睡眠には遺伝的な要因が関係すると考えられており、一般の人がトレーニングによって同じ体質になるという確かな証拠はありません。

一方で、「自分はショートスリーパーだから大丈夫」と思っていても、実際には睡眠不足になっている可能性があります。

睡眠時間だけに注目するのではなく、朝の目覚めや日中の眠気、疲労感といった体からのサインを確認することが大切です。

ただし、こうした自覚だけで自然な短時間睡眠かどうかを判断することはできません。

その時間を減らすのではなく、自分に必要な睡眠時間を確保することが、健康的な生活につながります。

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参考資料

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