スマホが睡眠に与える影響は、ブルーライトだけでは説明できないことが分かってきました。
「寝る前のスマホはやめましょう」は本当に正しい?
「寝る前のスマホを見ると眠れなくなる。」
この言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
最近では、スマホの画面を暗くする「ダークモード」や、ブルーライトを抑える「ナイトモード」を利用している人も増えています。
「これなら安心」と思っている方も多いでしょう。
しかし、最新の睡眠研究では、スマホが睡眠に与える影響は、ブルーライトだけでは説明できないことがわかってきました。
実は、スマホによる睡眠への影響は、「何を見ているか」「どれだけ長く使うか」「就寝時間が遅くなるか」など、複数の要因が関係していると考えられています。
眠れない理由をもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▷眠いのに眠れない理由とは?考えられる原因と今すぐできる対処法
つまり、同じスマホでも、電子書籍を短時間読む場合と、SNSや動画を長時間見続ける場合では、睡眠への影響は同じとは限りません。
今回は、最新研究をもとに「寝る前のスマホ」の本当の問題点をわかりやすく解説します。
ブルーライトだけが悪者ではない
スマホと睡眠の話になると、必ず登場するのがブルーライトです。
ブルーライトとは、太陽光にも含まれる青色の光で、朝に浴びると体内時計をリセットし、「今日が始まった」と脳に知らせる働きをしています。
このため、以前は「スマホ=ブルーライト=眠れなくなる」という考え方が一般的でした。
もちろん、この考え方は間違いではありません。
近年は、就寝前のスクリーン利用について、画面からの光だけでなく、見る内容や使用行動など複数の要素から研究されています。
参考:National Sleep Foundationのコンセンサス声明
つまり、
「ブルーライトを減らしたから安心」
とは言えないのです。
雑学1⃣ ブルーライトは敵ではない
実はブルーライトそのものは悪者ではありません。
朝に明るい光を浴びることは、体内時計を整えるうえで役立ちます。
特に朝の光は、夜の眠気が訪れるタイミングにも関係しています。
朝に光を浴びることで体内時計が調整され、夜に眠気が生じるリズムを整えるのに役立ちます。
「ブルーライトは悪い光」ではなく、浴びる時間が重要ということですね。
ブルーライトについて理解するには、まず睡眠そのものの仕組みを知ることが大切です。
詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
スマホが睡眠を妨げるのは「光」だけではない
では、光以外にはどのような要因が関係しているのでしょうか。
その一つとして考えられるのが、就寝前の心理的な刺激や覚醒です。
例えば、
- SNSを見て友達の投稿が気になる
- ニュースを読んで不安になる
- ショート動画を見続ける
- ゲームで勝ち負けに熱中する
こうした刺激は、眠る前のリラックスを妨げたり、就寝時間を遅らせたりする可能性があります。
私たちの脳は、興味深い情報や新しい情報を見つけると、「もっと知りたい」と感じます。
SNSや動画サービスでは、次のコンテンツが表示され続ける仕組みがあり、「もう少しだけ」と使用を続けやすくなることがあります。
その結果、スマホを使い続けてしまい、眠るための時間が削られることがあります。
雑学2⃣ SNSはなぜ「もう少しだけ」が続きやすい?
テレビには番組の終わりがあります。
映画にもエンドロールがあります。
しかしSNSに終わりがありません。
どれだけスクロールしても、新しい情報が出てきます。
SNSやショート動画は次のコンテンツが次々と表示されるため、区切りをつけにくい特徴があります。
だから、「あと5分だけ」と思っていたのに、
気づけば30分、1時間経っていた…
という経験が起こるのです。
私自身も、寝る前にスマホで動画を見始めると止まらなくなり、気づけば1時間以上経っていたことがあります。
小さな発見や、感心することが出てくるとなぜか没頭してしまいます。
ただし、これは私自身の経験であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
ショート動画はなぜ長時間見てしまいやすい?
最近ではTikTokやInstagramリール、YouTube Shortsなど、数十秒程度の動画を見る人が増えています。
「短い動画だから大丈夫」と思われがちですが、短い動画を次々に見ることで使用時間が長くなり、就寝時間が遅くなる可能性があります。
しかも、
「次はもっと面白い動画かもしれない」と思うことで、
次のコンテンツへ興味が続き、使用をやめにくくなることがあります。
その結果、就寝時間が遅くなったり、眠る前のリラックスを妨げられたりすることがあります。
通知音や振動も睡眠を妨げる?
スマホの画面を見ていなくても、睡眠に影響を及ぼすものがあります。
それが通知です。
「ピコン」という音。
画面が光る。
スマートウォッチが震える。
これだけでも脳は「何か新しい情報が来た」と反応します。
通知を確認しなかったとしても、
「誰からだろう?」
「仕事かな?」
「友達かな?」
と無意識に考えてしまうことがあります。
実際、通知音や振動は睡眠を中断する可能性があります。
また、通知の内容を気にすることで、眠る前のリラックスを妨げることも考えられます。
そのため、就寝前は通知をオフにしたり、「おやすみモード」を活用したりする方法があります。
スマホを使う場合に睡眠への影響を減らす方法
ここまで読むと、「じゃあ寝る前はスマホを一切使ってはいけないの?」と思った方もいるかもしれません。
近年の研究では、スマホによる睡眠への影響は、使用するかどうかだけでなく、「何を見るか」「どのくらい使うか」「いつ使うか」など、さまざまな要因が関係すると考えられています。
例えば、寝る前に家族へ「おやすみ」と短いメッセージを送る場合と、SNSや動画を長時間見る場合では、睡眠への影響が同じとは限りません。
SNSやショート動画、ゲームなどは、内容によっては就寝前のリラックスを妨げたり、使用時間を延ばしたりすることがあります。
つまり、スマホによる睡眠への影響は、画面からの光ではなく、何を見ているか、どのくらい使うか、使うことで就寝時間が遅くなるかなど、複数の要素が関係しています。
例えば、
- 明日の予定を確認する
- 穏やかな音楽を流す
- 電子書籍を短時間読む
- 瞑想や深呼吸をする
といった使い方であれば、SNSやショート動画を長時間見続ける場合とは、睡眠への影響が異なる可能性があります。
雑学4⃣ 紙の本とスマホでは何が違う?
「紙の本を読むと眠くなるんだけど、スマホで小説を読むと目がさえる気がする。」
そんな経験はありませんか?
もちろん個人差はありますが、紙の本には通知も広告もありません。
途中で動画が流れることも、「あなたのおすすめ」が表示されることがないため、脳は一つの情報に集中できます。
通知や別のコンテンツに気を取られにくく、読書に集中しやすいという違いがあります。
一方、スマホでは読書アプリを開いたつもりが、気づけばSNSを見ていたということも珍しくありません。
つまり、眠気を妨げる原因は画面だけではなく、「誘惑の多さ」にもあるのです。
寝る前は刺激を減らして眠る準備をする
睡眠には、飛行機が着陸前にゆっくり高度を下げるような「準備時間」が必要です。
ところが、寝る直前まで刺激の強い情報を見続けると、脳は高速道路を全力で走っているような状態になります。
そこから急に「はい、寝てください」と言われても、簡単には眠れません。
就寝前はスマホや刺激の強いコンテ
ンツから離れ、リラックスできる時間を設ける方法があります。
部屋の照明を少し暗くする。
テレビを消す。
スマホを充電器に置く。
暖かい飲み物を飲む。
軽いストレッチをする。
こうした小さな習慣が、脳に「もうすぐ眠る時間ですよ」という合図になります。
雑学5⃣ 人間は「眠るスイッチ」があるわけではない
よく「眠気が来た」と言いますが、実は脳にはオン・オフのスイッチがあるわけではありません。
眠りは、体温が少しずつ下がり、メラトニンが分泌され、脳の活動が徐々に落ち着くという一連の流れの中で訪れます。
つまり、眠ることは「スイッチを押す」のではなく、「自然に眠れる環境を整える」ことなのです。
朝の光が、夜の睡眠リズムを整える
実は、夜の睡眠の質は夜だけで決まるわけではありません。
朝起きてから何をするかも、とても重要です。
特におすすめなのが、朝起きたら、できるだけ早い時間に明るい光を浴びることです。
朝に明るい光を浴びることは、体内時計を整えるうえで役立ちます。
朝日と体内時計の関係を知ると、理想的な睡眠時間についても理解しやすくなります。
詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▷睡眠時間は何時間が理想?最新研究でわかった最適な睡眠時間とは
曇りの日でも、屋外は一般的に室内より明るいため、朝に屋外へ出て光を浴びることは体内時計を整える方法の一つになります。
逆に、休日に昼過ぎまで寝てしまうと体内時計がずれ、夜になっても眠くならない原因になることがあります。
「夜眠れないから朝ゆっくり寝る」という悪循環に陥る人が少なくないのです。
今日からできる「スマホと上手な付き合い方」
睡眠の質を上げるために、今日から始められることをまとめました。
- 寝る前にSNSやショート動画を見ない時間をつくってみる
- 通知をオフにし、「おやすみモード」を活用する
- ナイトモードは補助として使い、過信しない
- スマホはベッドではなく、手の届きにくい場所で充電する
- 朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる
- 毎日できるだけ同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
一つひとつは小さなことですが、自分に取り入れやすいものから試してみる方法があります。
他にも寝る前の睡眠の質を上げる方法を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▷寝る前の音楽は効果あるの?睡眠へのメリット・デメリットを解説
まとめ
「寝る前のスマホは睡眠に悪い」という話は、決して間違いではありません。
しかし、最新の研究から見えてきたのは、本当の問題はブルーライトだけではないということです。
SNSやショート動画、ゲームなどによる刺激、長時間の使用、通知などが重なることで、眠る前のリラックスや就寝時間に影響する可能性があります。
だからといって、スマホを完全に手放す必要はありません。
大切なのは、スマホに使われるのではなく、自分で使い方を選ぶことです。
寝る前の30分だけでもスマホから少し距離を置き、脳と心を休ませる時間を作ってみてください。
その小さな習慣が、寝る前の過ごし方を見直すきっかけになるかもしれません。
睡眠は、人生のおよそ3分の1を占める大切な時間です。
今日の夜から、あなたのスマホとの付き合い方を少しだけ見直してみませんか。
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参考文献
- PubMed|National Sleep Foundation(2024)就寝前のスクリーン利用と睡眠に関する研究
- PubMed|Han X, et al.(2024)電子メディアの使用と睡眠の質に関する研究
- PubMed|Chu Y, et al.(2023)スマートフォンの使用時間と睡眠の質に関する研究
- PubMed|Vézina-Im L-A, et al.(2025)就寝前のスクリーン利用と成人の睡眠に関する研究


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