「毎日8時間寝たほうがいい」
睡眠について調べていると、この「8時間」という数字をよく見かけます。
ところが実際には、7時間ほどで自然に目が覚める人もいれば、8時間近く眠ったほうが調子のいい人もいます。
では、自分には何時間の睡眠が必要なのでしょうか。
結論からいうと、自分に合った睡眠時間は「何時間寝たか」だけでは判断できません。
見るべきなのは、
・朝に休まった感じがあるか
・日中に強い眠気がないか
・休日だけ極端に長く寝ていないか
・その睡眠時間で無理なく生活できているか
といった「眠った翌日の状態」です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について、個人差を踏まえながら6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することが示されています。
つまり、「全員8時間」ではありません。
この記事では、睡眠時間の数字だけに振り回されず、自分の生活の中で必要な睡眠時間を探す方法を、7日間の記録を使ってわかりやすく紹介します。
- まず結論|自分に合う睡眠時間は「翌日の自分」で探す
- 「8時間睡眠」は全員の正解ではない
- 「ベッドにいた時間」と「眠った時間」は同じではない
- 自分に合った睡眠時間を見る5つのサイン
- まず7日間「睡眠ログ」をつけてみる
- 7日分たまったら「睡眠時間」と「翌日」を並べて見る
- 休日に長く寝てしまうなら平日との差を見る
- 睡眠時間を変えるなら15~30分ずつ試してみる
- 起床時刻を大きく動かさないほうが比較しやすい
- カフェインを飲んだ時間も一緒に記録する
- 昼寝をした日も分けて見る
- スマートウォッチの睡眠スコアは「参考の一つ」にする
- 「長く寝れば寝るほどいい」と考えない
- 1日だけの睡眠で判断しない
- こんな記録になったらどう読む?
- 自分に合う睡眠時間を探すときにやらないこと
- 今日からできる「7日間睡眠チェック」
- 自分に合った睡眠時間は「数字+翌日の自分」で決める
まず結論|自分に合う睡眠時間は「翌日の自分」で探す
自分に必要な睡眠時間を考えるときは、次の3つをセットで見ます。
1. 実際にどのくらい眠ったか
2. 翌日の朝と昼にどんな状態だったか
3. 平日と休日で睡眠時間に大きな差がないか
たとえば、7時間眠った日に、
・朝に比較的すっきり起きられる
・午前中に強い眠気がない
・仕事や勉強中にウトウトしない
・休日に何時間も寝だめしなくても過ごせる
という状態が続いているなら、そのあたりが自分に合った睡眠時間を考える一つの手がかりになります。
逆に、6時間睡眠では平気だと思っていても、毎週末に9~10時間眠っているなら、平日に睡眠が不足している可能性もあります。

「8時間睡眠」は全員の正解ではない
睡眠時間について「8時間」という数字がよく知られていますが、すべての成人が8時間眠らなければならないわけではありません。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、成人の適正な睡眠時間には個人差があることが前提になっています。
年齢だけでなく、
・普段の活動量
・仕事や学校の時間
・就寝時刻と起床時刻
・生活リズム
・その日の疲れ方
などによっても、眠り方は変わります。
同じ人でも、毎日まったく同じ時間だけ眠れるとは限りません。
そのため、
「今日は7時間しか寝られなかった」
「昨日より30分短かった」
と1日ごとの数字だけを追いかけるより、1週間ほどの傾向を見るほうが、自分の睡眠を把握しやすくなります。
「ベッドにいた時間」と「眠った時間」は同じではない
ここは意外と見落としやすいポイントです。
23時にベッドに入り、朝7時に起きたとします。
ベッドにいた時間は8時間です。
しかし、
・寝つくまで30分かかった
・夜中に何度か目が覚めた
という場合、実際に眠っていた時間は8時間より短くなります。
そのため、自分の睡眠を記録するときは、
「ベッドに入った時刻」
だけではなく、
「だいたい何時ごろ眠ったと思うか」
も一緒に記録しておくとわかりやすくなります。
正確に1分単位まで測る必要はありません。
「23時30分ごろ」のような、おおよその記録で十分です。
自分に合った睡眠時間を見る5つのサイン
睡眠時間が今の自分に合っているか考えるときは、次の5つを確認してみます。
| 見るポイント | 確認すること |
| 朝の目覚め | 起きた直後に毎日かなりつらくないか |
| 朝の休養感 | 「少し休めた」と感じられるか |
| 日中の眠気 | 仕事や勉強中に強い眠気が続かないか |
| 休日の睡眠 | 平日より何時間も長く寝ていないか |
| 生活の安定 | 同じ睡眠時間で数日間安定して過ごせるか |
一つだけで判断する必要はありません。
たとえば、目覚まし時計を使っているからといって、睡眠時間が足りないとは限りません。
反対に、自然に目が覚めていても、昼間に強い眠気が続くなら、その睡眠時間が十分とは言い切れません。
複数のサインをまとめて見ることがポイントです。
まず7日間「睡眠ログ」をつけてみる
自分に合った睡眠時間を探すなら、感覚だけで考えるより、簡単な記録を残したほうがわかりやすくなります。
まずは7日間。
できれば平日と休日の両方を含めて記録します。
記録するのは次の項目です。
| 項目 | 記録例 |
| ベッドに入った時刻 | 23:20 |
| 眠ったと思う時刻 | 23:45 |
| 起きた時刻 | 6:45 |
| おおよその睡眠時間 | 約7時間 |
| 朝の休養感 | 3/5 |
| 午前中の眠気 | 少ない |
| 午後の眠気 | 少しある |
| 昼寝 | なし |
| 休日との差 | +1時間 |
| メモ | 夜にコーヒーを飲んだ |
スマートフォンのメモ帳でも構いません。
毎日同じ項目だけ記録します。
この記録の目的は「完璧な睡眠点数」をつけることではありません。
何時間眠った日の翌日に、自分がどう感じたかを比べることです。

7日分たまったら「睡眠時間」と「翌日」を並べて見る
7日分の記録がたまったら、睡眠時間だけを見ずに、その翌日の状態と並べてみます。
たとえば、次のような記録になったとします。
| 睡眠時間 | 朝の休養感 | 日中の眠気 | 休日との差 |
| 6時間 | △ | 強い | ー |
| 6時間30分 | △ | やや強い | ー |
| 7時間 | 〇 | 少ない | ー |
| 7時間15分 | 〇 | 少ない | ー |
| 7時間30分 | 〇 | 少ない | ー |
| 8時間 | 〇 | 少ない | +1時間 |
| 8時間30分 | 〇 | 少ない | +1時間30分 |
この例なら、6時間前後の日より、7時間前後の日のほうが日中の状態が安定しています。
このように見ると、
「私は7時間が正解」
と一発で決めるのではなく、
「今の生活では7時間前後のほうが安定しやすそう」
という考え方ができます。
これが、自分に合った睡眠時間を探すときの基本です。
休日に長く寝てしまうなら平日との差を見る
「平日は6時間で平気」
と思っていても、休日になると昼近くまで眠ってしまうことがあります。
厚生労働省のGood Sleepガイドでは、日中の強い眠気や、週末に長く寝る習慣は、睡眠不足を振り返るサインとして紹介されています。
そのため、自分の睡眠時間を考えるときは、
平日の睡眠時間だけを見るのではなく、休日との差も見る
のがおすすめです。
たとえば、
平日 6時間
休日 9時間
なら、3時間の差があります。
一方、
平日 7時間
休日 7時間30分
なら、差は30分です。
休日に長く眠ったこと自体を悪いことと考える必要はありません。
「なぜ休日だけ長く眠れるのだろう?」
と、自分の平日の睡眠を見直す材料にします。
睡眠不足が積み重なる仕組みについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
睡眠時間を変えるなら15~30分ずつ試してみる
記録してみて、
「もう少し眠ったほうが昼間が楽そうだ」
と感じた場合でも、いきなり2時間早く寝る必要はありません。
一例として、就寝時刻を15~30分程度早めて様子を見る方法があります。
たとえば、
現在 0:30~6:30 約6時間
なら、
変更後 0:00~6:30 約6時間30分
という形です。
これを数日続けて、
・朝の休養感
・午前中の眠気
・午後の眠気
・休日の睡眠時間
がどう変わったかを確認します。
まだ睡眠が足りないと感じるなら、さらに15~30分程度調整します。
こうすると、生活リズムを大きく崩さずに比較できます。
起床時刻を大きく動かさないほうが比較しやすい
自分の睡眠時間を比べるときは、就寝時刻も起床時刻も毎日バラバラだと判断しにくくなります。
できる範囲で、起床時刻を大きく変えずに記録してみると、
「睡眠時間を少し増やしたら翌日どうなったか」
を比較しやすくなります。
たとえば、
6:30起床を基本にして、
0:30就寝
0:00就寝
23:45就寝
と少しずつ調整する方法です。
毎日完全に同じ時刻にする必要はありません。
あくまで「比べやすくするための目安」です。
カフェインを飲んだ時間も一緒に記録する
睡眠ログには、コーヒーやエナジードリンクなどを飲んだ時間も書いておくと便利です。
なぜなら、
「7時間寝たのに今日は眠くない」
という日でも、午後に何杯もコーヒーを飲んでいる場合があります。
反対に、
「いつもより寝つくまで時間がかかった」
という日に、夕方以降のカフェインが重なっていることもあります。
睡眠時間だけを比べるより、
その日の生活も一緒に記録したほうが、自分なりのパターンを見つけやすくなります。
昼寝をした日も分けて見る
昼寝をした日は、夜の睡眠時間だけを見ると判断しにくくなることがあります。
たとえば、
夜6時間30分
昼寝30分
の日と、
夜6時間30分
昼寝なし
の日では、翌日の感じ方が違うかもしれません。
そのため、睡眠ログには、
・昼寝をしたか
・何時ごろ寝たか
・どのくらい寝たか
も簡単に残しておきます。
細かく分析する必要はありません。
「今日は昼寝あり」
と分かるだけでも十分です。
スマートウォッチの睡眠スコアは「参考の一つ」にする
最近は、スマートウォッチやスマートリングで睡眠時間や睡眠スコアを確認できるようになりました。
数字で記録できるので、睡眠ログを続けるうえでは便利です。
ただし、
「睡眠スコアが低いから今日は調子が悪いはず」
と数字だけで決める必要はありません。
睡眠時間の記録と一緒に、
・朝の感じ
・日中の眠気
・その日の活動状態
も残しておきます。
機器の数字と自分の感覚を並べて見るほうが、実生活では使いやすくなります。
「長く寝れば寝るほどいい」と考えない
自分に必要な睡眠時間を探していると、
「6時間より7時間、7時間より8時間、8時間より9時間のほうがいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、自分に合った睡眠時間探しは、睡眠時間をできるだけ長くする競争ではありません。
大切なのは、
必要な時間を確保したうえで、翌日の生活が安定していること
です。
必要以上に長くベッドにいようとしても、眠れない時間が増えることがあります。
「何時間寝床にいたか」より、
「実際にどのくらい眠り、その翌日どうだったか」
を見ます。
1日だけの睡眠で判断しない
睡眠は毎日まったく同じにはなりません。
昨日は6時間30分。
今日は7時間20分。
週末は8時間。
このように多少変わるのは自然です。
そのため、
「昨日6時間しか寝られなかったから失敗」
と考える必要はありません。
自分に合った睡眠時間を探すときは、1日ではなく1~2週間程度の傾向で見ます。
国立精神・神経医療研究センターの資料でも、睡眠の問題を把握する際には、睡眠時間や日中の眠気などを2週間程度記録する方法が紹介されています。
まず7日間続けてみて、もう少し確認したい場合は2週間続けると、自分のパターンがさらに見えやすくなります。
こんな記録になったらどう読む?
パターン1|7時間前後で安定する
7時間前後の日は、
・朝の休養感がある
・日中の眠気が少ない
・休日も極端に長く寝ない
という状態が続いている。
この場合は、現在の生活では7時間前後が一つの目安になりそうです。
パターン2|平日は6時間、休日は9時間
平日は目覚ましで起きられるものの、休日は毎回3時間ほど長く眠る。
この場合は、
「自分は6時間で大丈夫」
と決める前に、平日の睡眠時間を少し増やして比較してみる価値があります。
パターン3|8時間寝ても朝から重い
睡眠時間を長くしても、朝の休養感や日中の状態が変わらない。
この場合は、睡眠時間だけをさらに増やしていくのではなく、
・就寝時刻
・起床時刻
・寝室環境
・寝る前の過ごし方
・カフェインをとる時間
なども一緒に見直してみます。
「時間」だけでは説明できないこともあるからです。
生活習慣や睡眠環境を見直しても、強い眠気や休養感の低下が続く場合は、医療機関に相談することも選択肢になります。
睡眠時間は足りているのに朝から疲れを感じる場合は、こちらの記事も参考になります。
▷ 寝ても疲れが取れないのはなぜ?考えられる7つの原因と改善方法
自分に合う睡眠時間を探すときにやらないこと
毎日睡眠時間を変える
今日は6時間。
明日は8時間。
次の日は5時間30分。
これでは、どの睡眠時間が自分に合っていたのか分かりにくくなります。
数日間は同じ条件に近づけて比べます。
8時間という数字に無理に合わせる
7時間前後で安定しているのに、
「8時間寝なければいけない」
と考える必要はありません。
睡眠時間には個人差があります。
1日の失敗を気にしすぎる
夜更かししてしまう日もあります。
眠りにくい日もあります。
一晩だけで判断せず、1週間ほどの流れを見ます。
睡眠スコアだけを見る
機器の数字は便利ですが、自分の体感や日中の状態も同じくらい大切な情報です。
今日からできる「7日間睡眠チェック」
難しく考えず、今夜から次の5項目だけ記録してみてください。
1. 眠ったと思う時刻
2. 起きた時刻
3. おおよその睡眠時間
4. 朝の休養感を5段階
5. 日中の眠気を5段階
余裕があれば、
・昼寝
・カフェイン
・休日との差
も加えます。
7日後に、
「調子がよかった日は何時間くらい眠っていたか」
を見返します。
これだけでも、ただ「私は何時間寝ればいいんだろう」と考えているときより、自分の睡眠がかなり見えやすくなります。
自分に合った睡眠時間は「数字+翌日の自分」で決める
自分に必要な睡眠時間は、全員同じではありません。
成人では、厚生労働省が6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することを示していますが、それは「6時間寝れば全員十分」という意味でも、「8時間寝なければならない」という意味でもありません。
自分の睡眠を考えるときは、
・何時間眠ったか
・朝に休まった感じがあるか
・日中に強い眠気がないか
・休日だけ極端に長く寝ていないか
をセットで見ます。
そして、必要なら15~30分ずつ睡眠時間を調整して、数日間の変化を比べます。
自分に合った睡眠時間は、一つの数字を検索して見つけるものではありません。
眠った時間と、その翌日の自分を並べて見る。
それが、自分に合う睡眠時間を見つける一番わかりやすい方法です。
今夜からまず7日間、簡単な睡眠ログをつけてみてください。

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参考・出典
・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
・厚生労働省「成人のためのGood Sleepガイド」
・国立精神・神経医療研究センター「睡眠に関するマニュアル」

