靴下を履いて寝るのはいい?悪い?睡眠への影響を科学的に解説

睡眠

寒い冬の夜、布団に入っても足先だけが冷たい。

「靴下を履いたまま寝てもいいの?」

「寝るときの靴下は体によくないって本当?」

冬になると、このように迷うことがあります。

結論からいうと、靴下を履いて寝ることが一律に良い、悪いとは言えません。

足先が冷えて不快なときは、ゆったりした靴下で足元を温めることで、眠りやすくなる可能性があります。

一方で、暑い、蒸れる、締め付けが気になるのであれば、無理に履く必要はありません。

ポイントは、

「靴下を履くか」ではなく、「眠るときに足元が快適かどうか」

です。

まず簡単に整理してみましょう。

寝るときの状態と考え方

寝るときの状態 考え方
足先が冷たくて気になる ゆったりした靴下を試すのも一つの方法
靴下を履くと暖かく快適 無理に脱ぐ必要はない
暑い・蒸れる 脱ぐ、または薄手に変える
足首の締め付けが気になる よりゆったりしたものに変える
靴下なしでも快適 あえて履く必要はない

この記事では、靴下と睡眠の関係について、現在わかっている範囲をシンプルに見ていきます。

眠る前は「手足から熱を逃がす」変化が起こる

睡眠と足元の温度を考えるうえで知っておきたいのが、体温の変化です。

人の深部体温は一日の中で変化しており、夜になると低下していきます。

眠る前には手や足などの皮膚の血流が増え、体の内部にある熱を外へ逃がしやすくなります。

こうして深部体温が下がっていくことが、入眠と関係しています。

つまり、

「眠るためには手足を冷たくする必要がある」わけではありません。

むしろ眠る前には、手足の皮膚温が上がり、そこから熱を放散するという変化が起こります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、皮膚の血流が増えて熱が外へ放散され、深部体温が低下すると入眠しやすくなることが説明されています。

 

では、靴下で足を温めると眠りやすくなる?

実際に、就寝中の靴下について調べた研究があります。

2018年に発表された研究では、若い男性6人を対象に、室温23℃の環境で「靴下あり」と「靴下なし」を比較しました。

その結果、靴下を履いた条件では、

  • 寝つくまでの時間が短くなった
  • 総睡眠時間が長くなった
  • 夜間の覚醒が少なくなった
  • 睡眠効率が高くなった

という結果が報告されています。

さらに、足の皮膚温は高くなりましたが、深部体温には明確な差がありませんでした。

この結果だけを見ると、

「靴下を履くと熱が逃げなくなり、深部体温が下がらない」

とは単純には言えないことがわかります。

ただし、この研究はわずか6人の若い男性を対象にした小規模な実験です。

すべての人に同じ効果があるとまでは判断できません。

研究から分かること・まだ分からないこと

研究から分かること まだ分からないこと
冷涼な環境で足を温めると、睡眠に良い変化がみられる場合がある 誰にでも同じ効果があるか
靴下を履いても深部体温に明確な差が出なかった実験がある どんな素材・厚さが最も良いか
足元の温度は睡眠と関係している 一年中履いたほうがよいか
比較的涼しい環境では足元の保温が役立つ可能性がある 靴下が必ず睡眠の質を上げるか

「靴下を履けば必ずよく眠れる」と考えるのではなく、寒い夜の睡眠環境を整える方法の一つとして考えるのが分かりやすいでしょう。

「寝るときの靴下は悪い」は本当?

寝るときの靴下については、さまざまな情報があります。

しかし、中には科学的な根拠がはっきりしないものもあります。

「靴下を履くと熱を逃がせなくなる」

必ずしもそうとは限りません。

先ほど紹介した実験では、靴下によって足の皮膚温は上がりましたが、深部体温に明確な差はありませんでした。

そのため、

「靴下を履く=深部体温が下がらなくなる」

と断定することはできません。

「寝る前には必ず靴下を脱いだほうがいい」

これも、すべての人に当てはまる決まりではありません。

履いたほうが快適なら、そのまま寝てもかまいません。

反対に、途中で暑くなったり蒸れたりするなら、脱いだほうが快適でしょう。

「靴下なら何でもいい」

これはおすすめできません。

睡眠中は長時間身につけるため、

  • 締め付けが強い
  • 厚すぎて暑い
  • 汗で蒸れる
  • 履いていること自体が気になる

といった状態では、かえって寝心地が悪くなることがあります。

重要なのは靴下そのものより、快適に眠れる状態かどうかです。

寝るときの靴下はどう選ぶ?

睡眠用に特別な高価な靴下が必要というわけではありません。

次のポイントを基準にすると分かりやすいでしょう。

寝るときの靴下の選び方

チェックするところ 選び方
締め付け 足首が苦しくないもの
厚さ 暑くなりすぎないもの
蒸れ 湿気がこもりにくいもの
肌触り 長時間履いていて気にならないもの
脱ぎやすさ 暑くなったら簡単に脱げるもの

特に分厚い靴下を履けばよいというわけではありません。

「少し暖かくて気持ちいい」程度を目安にすると判断しやすくなります。

 

足が冷たいなら、まず寝室全体も確認してみる

足先だけに注目するのではなく、寝室の温度も確認してみましょう。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、寝室を暑すぎず寒すぎない環境にすることが紹介されています。

冬は、就寝前に過ごす部屋の温度が低いと、寝つくまでの時間が長くなることが報告されています。

そのため、寝室を寒すぎない環境に整えることも、足元の冷えを考えるうえで大切です。

足が冷たいからといって、靴下だけで解決しようとする必要はありません。

布団そのものが冷えている、部屋が寒すぎる、寝具が季節に合っていないといった可能性もあります。

睡眠環境全体についてはこちらでも詳しく紹介しています。

▷睡眠の質を上げる方法10選|今日からできる快眠習慣

就寝1〜2時間前の入浴という方法もある

足元が冷えるときは、靴下以外に入浴という方法もあります。

厚生労働省の睡眠ガイドでは、就寝1〜2時間前に入浴して体を温めることで、その後の熱放散が促され、入眠しやすくなることが紹介されています。

ここで少し不思議なのは、

「眠る前なのに体を温める」

という点です。

体を温めたあとには、皮膚から熱を逃がそうとする変化が起こります。

その結果として深部体温が下がっていくため、眠りに入りやすくなると考えられています。

「体を冷やせば眠れる」という単純な仕組みではないところが、睡眠と体温の面白いところです。

自分には靴下が合う?簡単に比べてみよう

靴下が合うかどうかは、研究結果だけでは決められません。

そこで、寒い時期に次の項目を比べてみると分かりやすくなります。

靴下あり・なしの比較チェック

確認すること 靴下あり 靴下なし
布団に入ったとき足が冷たい
寝つくまで長く感じる
夜中に寒さを感じる
夜中に暑さを感じる
足が蒸れる
朝まで快適だった

1日だけでは室温や疲れ具合にも左右されます。

数日試してみて、

「どちらのほうが自然に眠れたか」

を見るだけでも、自分に合う方法を判断しやすくなります。

睡眠を妨げやすい生活習慣についてはこちらでもまとめています。

▷睡眠の質を下げるNG習慣10選|知らないうちにやっている悪習慣とは?

まとめ

靴下を履いて寝ることは、必ずしも悪いことではありません。

現在の研究からは、比較的涼しい環境で足元を温めることが、寝つきなどに良い変化をもたらす可能性が示されています。

ただし、靴下を履けば誰でもよく眠れるとまでは分かっていません。

考え方はシンプルです。

  • 足が冷たくて眠りにくいなら試してみる
  • 締め付けの少ないものを選ぶ
  • 暑い、蒸れる、不快なら脱ぐ
  • 靴下だけでなく寝室や寝具も確認する

「寝るときは靴下を履くべきか、脱ぐべきか」という二択ではありません。

自分が眠るときに、足元が寒すぎず暑すぎない状態をつくること。

それが一番分かりやすい基準です。

 

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参考・出典

・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

・都築和代「温熱環境と睡眠」日本生気象学会雑誌(2014)

・糸井川高穂・羽山広文・山岸浩「睡眠時の皮膚温および放熱量と行動性体温調節に関する実験的研究」(2010)

・「靴下で足を温めたときの睡眠への影響」(2018)|PubMed

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