「寝ている間に、おならをしているかもしれない」
そう聞くと、少し恥ずかしく感じるかもしれません(笑)。しかし、これは決して珍しいことではありません。
人間は眠っている間も、呼吸をし、心臓を動かし、体温を調整し、消化管を動かしています。そして当然、腸の中ではガスも発生します。
つまり、本人がまったく気づいていないだけで、睡眠中にも腸からガスが排出されることはあります。
では、なぜ眠っているときにおならが出るのでしょうか?
そもそも睡眠中の肛門の筋肉はどうなっているのでしょうか?
そして、朝起きたら「なんだかお腹がスッキリしている」という現象にも、実は身体の仕組みが関係しています。
つまり、
こいてるかもしれないということです。
今回は、少し笑えて、でも意外と知らない「睡眠中のおなら」を入り口に、眠っている間の身体で起きていることを詳しく見ていきましょう。
そもそも「おなら」はどうやって作られる?
まず、おならの正体から見ていきましょう。
おならとは、簡単にいえば腸の中にたまったガスです。
食事をすると、胃や小腸で消化・吸収が行われます。
その一方で、大腸には消化しきれなかったものが届きます。
そこでは腸内細菌が食べ物の残りを分解します。
この過程でさまざまなガスが生まれます。
さらに、食事や飲み物を飲み込むときに一緒に空気を飲み込むこともあります。
つまり、おならの材料は大きく分けると、
- 飲み込んだ空気
- 腸内細菌の働きによって生じるガス
などです。
そして、そのガスが腸の中を移動し、最終的に体外へ排出されます。
ここで重要なのが、「おならが出ること自体は正常な身体現象」ということです。
おならをするからといって、必ずしも腸内環境が悪いわけではありません。
むしろ、腸が正常に動いている証拠の一つでもあります。
では、なぜ睡眠中におならが出るの?
ここからが今回の本題です。
眠っている間、人は無意識に「おならを我慢しよう」と考えているわけではありません。
起きているときなら、周囲に人がいることを意識して、おならを我慢することがあります。
しかし睡眠中は、意識的なコントロールが大きく低下しています。
もちろん、睡眠中だからといって筋肉が完全に停止するわけではありません。
呼吸筋や心臓、消化管などは活動を続けています。
そして肛門周辺の筋肉も、睡眠中に一定の働きをしています。
ただし、覚醒時とは身体の状態が異なるため、ガスがたまってくれば、無意識のうちに排出されることがあります。
つまり、
「眠っているからおならをしない」
ではなく、
「眠っていても身体はガスを処理している」
と考えたほうが自然です。
睡眠中は「我慢する」という意識がなくなる
起きているとき、おならを我慢できるのは、ある程度、意志によって肛門周辺の筋肉をコントロールできるからです。
たとえば静かな部屋で、
「今ここで出したらまずい…..」
と思った経験はないでしょうか。
その瞬間、人間は無意識に近いレベルで筋肉を調整し、ガスの排出を抑えようとします。
ところが眠っている間は、このような社会的な判断をする必要がありません。
脳は睡眠状態に入り、外部環境への反応も低下します。
そのため、腸にガスが移動してきたときに、起きているときほど「絶対に我慢しなければ」と制御することができません。
結果として、知らないうちに排出される可能性があります。
しかも本人には、その記憶がありません。
朝起きて、
「昨日の夜、おならした?」
と聞かれても、本人からすると「知らない」としか言えません。
これも当然なのです。
睡眠中も腸は休んでいない
「寝ている間は体が休んでいる」とよく言います。
しかし、これは「すべての機能が停止している」という意味ではありません。
むしろ睡眠中も、体の内部ではさまざまな作業が続いています。
腸もその一つです。
食事をしてから数時間たっても、消化管では内容物が移動しています。
腸は筋肉を使って内容物を少しずつ送り出しています。
この動きを「蠕動運動(ぜんどううんどう)」と呼びます。
そして、睡眠中にも消化管の活動は続いています。
つまり布団の中で静かに眠っている間も、
「胃から腸へ」
「小腸から大腸へ」
と、身体の内部では物質が移動しています。
その過程でガスも移動しています。
だからこそ、睡眠痛におならが出ても不思議ではないのです。
寝る前の食事で「夜のおなら」が増えることも?
睡眠中のおならを考えるうえで、寝る前に何を食べたかも無視できません。
たとえば、豆類、玉ねぎ、キャベツなど、一部の食品は腸内で発酵しやすく、ガスが増えることがあります。
また、脂っこい食事をたくさん食べたり、一度に大量に食べたりすると、消化管への負担が大きくなることがあります。
さらに炭酸飲料をたくさん飲めば、飲み込むガスの量も増えます。
その結果、寝るころになっても胃腸の中に食べ物やガスが残っていることがあります。
すると、眠っている間にも腸内でガスが移動し、排出される可能性があります。
つまり、
「睡眠中に突然おならをする」
というより、
「寝る前から始まっていた腸の仕事が、眠っている間も続いている」
と考えると分かりやすいでしょう。
朝起きると「お腹が軽い」のはなぜ?
朝起きた時に、
「昨日の夜よりお腹がスッキリしている」
と感じることがあります。
もちろん、睡眠中に胃腸の内容が劇的にすべてなくなるわけではありません。
しかし、眠っている間にも消化管は動いています。
さらに、横になっている間も腸内のガスは少しずつ移動します。
そして起床すると、身体の活動量が上がり、立ち上がったり歩いたりすることで腸への刺激も変化します。
朝食を食べることでも、胃に食べ物が入った刺激によって消化管の活動が促されます。
これを「胃結腸反射」と呼びます。
朝食後に、
「急にトイレに行きたくなった」
という経験がある方も多いでしょう。
これは単なる偶然ではありません。
睡眠から覚醒へ、さらに食事へと移行することで、消化管の活動が変化するためです。
実は「寝ている間に音を聞いている」こともある
ここで少し話を広げてみましょう。
睡眠中、人間の脳は完全に外界との接続を切っているわけではありません。
眠っている人に話しかけたら、何も反応しないように見えることがあります。
しかし、脳は周辺から入ってくる音をある程度処理しています。
そのため、突然大きな音がすれば目を覚ますことがあります。
一方で、一定の環境音には慣れて、そのまま眠り続けることもあります。
これは睡眠が、「完全なスイッチオフ」ではないことを示しています。
おならのような身体内部の現象も同じです。
睡眠中も身体は完全に停止しているわけではありません。
むしろ、意識していないところで大量の仕事を続けています。
「寝ているのに脳は音を聞いている?」という不思議をもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▷寝ているのに、脳は”音”を聞いている|眠りの中でも消えない「聞く力」の秘密
睡眠中に起きている「意外な身体の仕事」
おならだけを見ると、少し笑える話に感じるかもしれません。
しかし、ここには睡眠の本質があります。
私ったちは眠っている間も、
- 呼吸をする
- 心臓を動かす
- 体温を調節する
- ホルモンを分泌する
- 免疫系を働かせる
- 腸内の情報を整理する
- 消化管を動かす
といった活動を続けています。
つまり睡眠とは、「体を完全に止める時間」ではありません。
むしろ、
意識的な活動を減らして、身体のメンテナンスに集中する時間と考えることができます。
布団の中で何もしていないように見えて、身体の内部ではかなり忙しいのです。
夢を見ているとき、身体はどうなっている?
さらに興味深いのが「夢」です。
特にレム睡眠では、脳が比較的活発に活動し、鮮明な夢を経験することがあります。
一方で、身体の筋肉には特徴的な変化が起こります。
夢の内容によって実際に大きく身体を動かしてしまわないよう、骨格筋の活動が抑えられる状態が生じるのです。
例えば夢の中で、
「全力疾走している!」
と思っていても、現実では布団の上で走っていません。
これは睡眠中の脳と身体の関係を考えるうえで非常に面白いポイントです。
つまり眠っている間は、
「脳は活動している」
「身体も活動している」
「でも起きているときとは活動の仕方が違う」
という状態なのです。
だからこそ、睡眠中には私たちが自覚していない現象がたくさん起こります。
おならを我慢することは身体に悪い?
では逆に、起きているときにおならを我慢するのはどうなのでしょうか。
たまに我慢する程度であれば、通常は大きな問題になるわけではありません。
ただし、ガスがたまっている状態で無理に我慢し続ければ、お腹の張りや不快感につながることがあります。
「おならを出すのは恥ずかしい」
という気持ちはよく分かります。
しかし、おならは身体にとって自然な排出現象です。
適度に我慢するよりも、可能な場所やタイミングで自然に排出したほうが楽でしょう。
そして、睡眠中については、そもそも本人が意識してコントロールすることは難しいものです。
「寝ている間におならをしていたらどうでしょう」
と必要以上に心配する必要はありません。
ただし「おならが異常に多い」ときは?
ここは少し重要なポイントです。
おなら自体は正常な現象ですが、
急におならの回数が増えた。
強い腹痛やお腹の張りがある。
便通の変化が続いている。
下痢や便秘が長く続いている。
などの場合は、単純に「寝ている間のおなら」というだけではない可能性があります。
食生活の変化、ストレス、腸内環境など、さまざまな要因が関係することがあります。
症状が強かったり長く続いたりする場合は、自己判断だけで済ませず、医療機関に相談することも大切です。
寝ている間の身体は、思っている以上に忙しい
今回のテーマは「睡眠中におならをするのか?」という、少し笑ってしまう疑問でした。
しかし、その答えを追いかけていくと、睡眠の面白さが見えてきます。
眠っている間も腸は働いています。
ガスも作られます。
ガスが移動すれば、自然に排出されることがあります。
本人がそれを覚えていないのも不思議ではありません。
つまり、私たちが「何もしていない」と思っている睡眠中にも、身体はずっと働いているのです。
布団に入って目を閉じる。
そして意識がなくなる。
その瞬間、身体も停止する。
そんなイメージを持っているかもしれません。
しかし実際は逆です。
意識が休んでいる間も、身体は生命を維持するために働き続けています。
呼吸をし、血液を循環させ、体温を調整し、脳を整え、腸を動かす。
そして、ときには誰にも知られないまま、おならまでしているかもしれません。
そう考えると、睡眠は単なる「休憩時間」ではありません。
眠っている間こそ、身体の裏側ではさまざまな仕事が進んでいるのです。」
そして朝、何事もなかったかのように目を覚ます。
私たちが毎日繰り返しているこの当たり前の現象こそ、実はかなり高度な体の仕組みなのかもしれません。
睡眠中の身体についてもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▷なぜ眠っている時間は「あっという間」に感じるのか?起きた時に気づく睡眠と時間の不思議
まとめ|眠っている間も身体は休まず働いている
寝ている間におならをすることは、十分に起こり得る自然な現象です。
睡眠中も腸は活動しており、腸内でガスが作られたり移動したりしています。
そして眠っている間は、起きているときのように意識的に排出をコントロールすることが難しくなるため、本人が気づかないままガスが排出されることがあります。
大切なのは、おならを「恥ずかしい体験」とだけ考えないことです。
ただし、人前でするのはアウトです。(笑)
おならは、消化管が働いているからこそ起こる身体の自然な現象です。
むしろ今回の話で覚えておきたいのは、
眠っている間も身体は止まっていない
ということ。
私たちが眠っている数時間の間にも、身体は休みながら、修復し、調整し、維持するための仕事を続けています。
今夜、布団に入ったとき、
「このあと自分の身体の中では何が起きているんだろう?」
と少し想像してみてください。
脳も、心臓も、呼吸も、腸も。
そしてもしかすると、おならも。
本人が知らないところで、身体は今日もせっせと働いているのです。
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